こんにちは。ナダの山口です。
今日は、当店でもお問い合わせの多い、エキパルチェアについて書きますね。
メキシコでしか作られていない椅子で、しかも15世紀から同じ製法で作られ続けている偉大な民芸品です。
フリーダ・カーロなどのメキシコの芸術家が愛用しておりましたが、日本でも著名な芸術家が重宝していたことで一部のマニアから人気があります。その独特なデザインや製法はとてもユニークで、特にヴィンテージ好きの人たちから支持されているようです。

フリーダカーロの家に展示されている特殊なエキパルチェア
レストランで使われているエキパルチェアとテーブル

■エキパルチェアの歴史:

エキパルチェアが作られ始めた正式な年は不明ですが、現地の資料によるとアステカ時代の高い地位の人のために作られたと書かれています。
余談になりますが、アステカ王国というと1400年代に北アメリカからメキシコまでの地域でメソアメリカ一帯に栄えた国家として有名ですね。今のメキシコを形成したといっても過言ではない古代国家だと思います。
その証拠に、アステカの伝説とされる、サボテンに立つ鷲が蛇を加えているデザインは今のメキシコ国旗のモチーフにそのまま使われています。

アステカの神話を基にしたメキシコの国章

それはさておき、エキパルチェアは、1400年代、15世紀に登場したということです。
そのころは、まだ、スペイン人の侵略も始まっておらず、西洋の影響を受けずに作られた椅子ということですね。
古代の椅子としては、全体を革張で包み、4本脚ではなく、ソファーのように地面に底が付いているので安定感を確保するには良かったのでしょう。
今で言う、パーソナルチェアのような原型とも言えますが、まさに高い位の人にふさわしい椅子と言えますね。
ちなみに、エキパルという用語は、”icpalli”が語源で、古代ナワトル語の“座席”という意味でした。

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■生産地:

家具というのは、多くが生産地で作られます。木材屋、木を切ったりする道具屋、革などの資材屋さんなど様々な企業が集まり、そのような企業が集まっている場所が家具作りに適しているからです。
それで、エキパルチェアの生産地はハリスコ州になります。テキーラの産地としても有名で、州都のグアダラハラはメキシコの文化都市として栄えている地域ですね。どうして、この地域が生産地として栄えたのかは不明ですが、このハリスコ州でしか、エキパルチェアは作られておりません。なかでも、ザコアルコという場所が製造の中心地になります。

■エキパルチェアの特徴:

エキパルチェアの特徴を素材、形で見ていきましょう。

・素材について:基本的に、自然界にあるものをあまり加工せずに使っています。主な構成要素は、
木材、天然皮革(牛もしくは豚皮)、サボテンの繊維、葦の4つです。

作り方:道具はナタと金槌とナイフでなど古代より伝わる道具のみを使います。パネルソーやNCルーターなどの現代の家具作りに必要な近代的な機械は使いません。なんぜ、のこぎりさえ使わないのですから。主な製造工程は、4つのパートで製作されます。
① 木を鉈で着る人。
② 木や葦の素材で椅子を形作る。
③ 張り地を貼る。
④ 最後に、塗装及び、仕上げ。

現地メーカーによるエキパルチェアについて英語の説明

このように、昔ながらの道具で、昔ながらの方法で自然素材と人の手によって作られていくのです。

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■エキパルチェアを愛したメキシコと日本の芸術家

メキシコの画家フリーダ・カーロが愛用していましたが、彼女が創作活動を行っていた通称青い家には、当時使われていたエキパルチェアが今も展示されています。彼女に家には、大小さまざまなエキパルチェアが当時使われていたコーディネートで展示されており、とても素敵ですね

一方、日本の芸術家にも愛用されていたことは意外と知られておりません。
染織家として、人間国宝の芹沢銈介は、静岡県の自宅でエキパルチェアを愛用して、今でも芹澤銈介美術館には当時使っていたエキパルチェアが展示されています。かなり、年季が入っていますね。

芹沢銈介の家、内観(使い込まれた跡が伝わってくる)

その他、画家の利根山光人は、メキシコをこよなく愛し、エキパルチェアはもちろん、アマテ絵やアレブリヘなどメキシコの民芸品を収集していたことは広く知られています。

■エキパルチェアの個人的な感想:

これほど、長く作られ続けている椅子は、世界でも稀です。トーネットチェア、チェスターフィールド、ザ・チェアなど多くの雑誌が特集したり、作られ続けられ、売られ続けられています。しかし、そのような名作といわれる椅子は、その技術が語り継がれ、発祥の地以外でも作られることがあります。つまり、多くの人にふれられること。また、誰でも作れるということは、マニュアルというか、型があって、作る人や作る場所でばらつきがあってはいけないのです。しかし、エキパルチェアは、一つ一つ、形が違い、作るのに手間もかかるので、メキシコ以外では作ることが難しい。だから、あまり有名にならなかったのだと思われます。つまり、歴史から忘れ去られたのです。それでも、一部の人からは注目はされていますし、何よりもメキシコで今でも淡々と作られ続けていることは事実です。ぜひ、一度、無名の民芸品をお試しいただきたいと思う次第です。

☆ナダウェブショップ☆

当店でも、メキシコより直輸入したエキパルチェアを販売しておりますので、
良かったらお試しください。日本では手に入らない、2Pタイプもご用意しております。

※(2018年9月20日時点の状況です。売り切れの際は、ご了承下さい)

最後まで、お読みいただき、本当にありがとうございます。

それでは。

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