こんにちは。ナダの山口です。今日は、メキシコの先住民族”ララムリ”ことタラウマラ族の紹介を致しますね。走らせたら世界で一番早い民族と言われていますが、まだ一部の人にしか知られていないかもしれません。オリンピックやマラソン大会に出場していれば有名になるのに、彼らが出ることはありません。なぜなのでしょう?

答えは、ララムリにとって、42kmは短すぎるからです(笑)。彼らが”走る”のは、たいてい100km。しかも、ぶかぶかの洋服にサンダルの格好で、満面の笑みを浮かべて・・・。また、彼らはとても恥ずかしがり屋で人前でインタビューされたり、喝采をあびたりすることをとても嫌うのです。

なぜ、そんなに長く、そんなに変てこな格好で走ることが出来るのでしょう?
この謎のヴェールに包まれた、最速の民族をNHK出版の「BORN TO RUN」とNHKで放送された「地球イチバンー世界一走りづつける民」を元に私の知識も織り交ぜながら紐解いていきましょう。

参考書籍:「BORN TO RUN」クリストファー・マクドゥーガル著 2010 NHK出版

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ララムリとは?

メキシコのチワワ州コッパーキャニオンという山岳地帯に住む先住民族。人口はおよそ7万人。17世紀のスペイン侵略の時に、戦いから逃れるために高地の山間に移り住んだと言われています。公用語は、タラウマラ語ですが、スペイン語も話します。

スペイン人によって発見された当初は”タラウマラ族”と名付けられていましたが、
もともとは、走る民族という意味で”ララムリ”と呼ばれています。また、彼ら自身もララムリと呼ばれる方がいいみたいです。

走ることが何よりも好きで、老若男女暇さえあれば、一人で、また仲間と一緒に走っています。

笑顔で走るララムリ。

走るときは、ワラチェというサンダルを履き、男性はぶかぶかの半ズボンに、女性はスカートにカラフルなシャツを羽織って走ります。クッション性のシューズに、ピチピチのスパッツとランニングシャツで走る現代ランナーとは真逆の格好です(笑)。

主食はトウモロコシと豆。移牧によって牛やヤギも育てています。
ランニングで疲れた時は、イスキアテ(別名チア・フレスカ)という
チアシードを原料とした飲み物で体力を瞬く間に回復させます。
『Born to Run』の著者、マクドゥーガルは、早速効果を実感。
作り方を本書で紹介してくれています。

イスキアテの作り方:
1、チアの種を水で溶かす。
2、砂糖とライムを加える

以上、とても簡単なドリンクだ。

チアには、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、たんぱく質、カルシウム、鉄、
亜鉛、食物繊維、抗酸化剤が詰め込まれている。
マクドゥーガルが無人島に食料を一つだけ持って行くとしたらこの
チア以外にないと言うほど、他に優れた食料はないそうです。

ちなみに、本書では、ララムリの性格や生活を次のように表現している。

”地球上でもっとも親切で、もっとも幸福な民族であるだけでなく、もっともタフでもあった。
(中略)

ランスアームストロングと違って、タラウマラ族は電解質が豊富なスポーツドリンクを大量に飲んだりしない。練習の合間にプロテイン・バーで体力の回復に努めることもない。それどころか、たんぱく質はほどんど口にせず、もっぱら好物の焼きネズミで味付けした挽きとうもろこしを常食としている。レース当日にいたるまで、トレーニングや調整はしない。ただ、ふらふらとスタートラインにつき、笑って冗談を言い合い、そしてつぎの46時間は鬼のように走りまくる。”(pp23-25)

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どこに住んでいるの?

メキシコの銅渓谷という標高2000メートル超の高地です。山間に粗末な住居をつくったり、中には洞穴などで暮らしている人も多いです。しかも、ただの高地に住んでいるわけではありません。そこに行くまで、荒野の中の幾多の障害があり、普通の人が歩いていけるような場所ではないと聞きます。

ノルゥエーの探検家である、ルムホルツは、「魂を鼓舞される思いがする。だが、そこを旅すれば、筋力も忍耐力も尽きてしまう」と本書で語っているように、常人では、普通にたどり着くことが難しいとされています。

また、未開の地ということは、様々な悪事が秘密裏で行われています。例えば、銅渓谷の周辺では、麻薬カルテルの取引場や暗殺の場としても使われているそうです。
わざわざ危険を冒してまで行くと大変な目にあいそうです。

ララムリのサンダル紹介

ララムリが走る時に履いているのがワラチェというサンダルです。廃棄されたタイヤを底に使い、革ひもで足を止める至ってシンプルなサンダルです。そう、彼らは走る時、靴ではなくサンダルで走るのです。ビーチサンダルみたいな形で、鼻緒がついているので、親指と人差し指につっかけてペタペタと走るのです。では、どうして、そんな走りずらそうなのに早く走れるのでしょうか?

ララムリの走り方紹介:

結論から言うと、つま先から着地してかかとは地面につかないで走るからです。
そうすると、どうなるかというと、足が地面に着地した時の衝撃が抑えられるのです。そのため、足に負担なく、長い時間走ることが出来ます。いわゆる、ベアフット(=足の前方部分)走法と言われるものですね。

裸足やサンダル履きで走ると、足の前部分で着地し、ふくらはぎの

ヒラメ筋という部分のバネを使って蹴り出すことになります。

これは、本来人間が走るために使われていた筋肉で、無駄なく負担がない走りだったのです。

 

シューズを履いているとかかとから着地するのに対して、素足だと足裏前方で着地せざるを得ない
狭いかかとで着地するのと、つま先付近の幅の広い部分で着地するのでは当然安定感が違う

また、足の裏を見て頂くとわかるのですが、足の裏で一番、広い部分はつま先の付け根の部分、反対に狭い部分はかかとです。
足が着地するとき、当然、狭い部分よりも広い部分で着地した方が安定してバランスを崩すこともないのです。

本書の中で、ダニエル・リーバーマン博士は、「現在われわれを苦しめる足や膝のけがの多くは

、実は靴を履いて走ることに原因がある。クッション性のある靴を履くことでオーバープロネーションを

引き起こすのだ」と警告を鳴らしています。

早く長く走れる本当の理由

本書に登場するマラソンコーチのジョー・ヴィヒルは長距離を早く走る秘訣について確信しました。
それは、何かというと、「愛」です。根性や闘争心の大きさではなく、「思いやり」、「やさしさ」、つまり「愛」だったのです。
そして、ララムリこそ、「愛」で満たされて走っていたのです。
”走ることを愛するというのがどんな気持ちなのか、彼らは忘れていない。(中略)
人は食べるために走り、食べられないように走った。連れ合いを見つけて気をひくために走り、彼女と新しい生活を送るために遠くまで走った。我々は走るために生まれた。それを、タラウマラ族は一度も忘れたことはない”(p130)

そして、もう一つ、大事なことは次のことです。

「時間をさかのぼる覚悟をする。つまり、先住民のようになるんだ」(p292)

ん〜、走り方も大事ですが、愛を持って走ることを楽しむことが大事なんですね。そして、現代的な食生活や習慣を捨てて、原始的な生活に戻してみる。そうすることで、早く怪我無く走ることができるということですね。ちょっとした気持ちのララムリのように満面の笑みを浮かべて走ってみたいものです。

 

ララムリを始め、先住民に対する接し方:

最近では、先住民に対してもっと豊かに生活できるようにと寄付をしたり、先住民の団体などが立ち上がっています。

例えば、今回のご紹介したララムリに対して、”外国に遊びに行くようなお金も、経済的余裕がない”ので、彼らの力になりたいという有志が集まり、「ララムリ・ジャパン」を立ち上げたとのこと。
素晴らしい行いで、この寄付を通じて、ララムリの人たちが少しでもまともな生活を送れることを強く願います。

しかし、一方で、果たして、この寄付は彼らに真の意味で役に立つのだろうか?と思っているのも事実です。

自然と共に暮らし、粗食で走ることが最高の幸せの住民に対して、今ある自然を飛び出して、どんな幸せを感じてほしいと思うのだろうか?

日本に来て、美味しいものを食べて、豪華な乗り物に乗って優雅なひと時を送ることが彼らの幸せなのだろうか?

彼らと話したこともないので、本当のところ、どうなのかわかりません。先住民に対して、我々にできることは、とにかく、遠くから見つめて、彼らの生活をリスペクトするだけなのかと思います。なんの干渉もせず、なんの助けも、妨げもしないで
「こんな生活を送っているのか?」とただただ、尊重するだけでいいのかなと、思っています。

どちらとも言えないが、今あるもので満足しているような気がしたので、書いてみました。

みなさんは、どう思われますか?

最後まで、お読みいただきありがとうございます。では。

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