今なお、チェ・ゲバラに次ぐ革命家のアイコンとして人気の高いサパティスタ。
サパティスタのリーダーであるマルコス副司令官をデザインしたTシャツやサパティスタの人たちが作った雑貨は未だでも人気があります。何故、チェ・ゲバラと同じようにTシャツのアイコンデザインとして使われ続けているのでしょうか?
サパティスタとは?それを指揮するマルコス副司令官とは誰だったのでしょうか?

 

マルコス副司令官。目出し帽にパイプをくわえるスタイルが印象付けられている
チェ・ゲバラTシャツについで人気の高いサパティスタTシャツ

(ナダで購入可能)

※このブログは下記の本を参照して一部引用しております。
引用した部分は、ページを記載しています。

参考文献「マルコス ここは世界の片隅なのか」(イグナシオ・ラモネ著) 現代企画室

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サパティスタ民族解放軍とは?

1990年代にマルコス副司令官をリーダーにチアパス州のラカンドン密林で先住民の権利を主張するためにゲリラ活動を開始しました。かつてメキシコ革命を指揮した革命家「エミリアーノ・サパタ」の思想や行動を受け継ぎサパティスタと名付けられました。スペイン語では、Ejército Zapatista de Liberación Nacionaを呼ばれ、略して”EZLN”と呼ばれています。

ゲリラ活動といっても、武力は使わずに平和的な方法でメキシコ政府と戦っていました。
なぜ、先住民が権利を主張するかといえば、グローバル経済の影響でメキシコの一部の人たちが豊かになる一方、先住民たちは一層貧しくなり、生存も脅かされているからです。

ここに、長い間差別された先住民の女性の発言を引用します。
「女たちは、栄養不足や治療の欠如のために、腕の中で子供が死ぬのを見ます。
他方、男たちは、家族をなんとか養うお金を手に入れるために、コーヒーやサトウキビの農園に働きに出ます。時には帰ってきません。病気で死ぬからです。そうなると女はさらに苦しみます。
少し大きくなると、両親はむりやり私たちを結婚させようとします。いやだと断っても関係ありません。私たちの同意は問題にされません。
私たちを女だからといって殴ります。私たちは自分の夫や親戚からも虐待されます。
私たちは不平等に苦しんでいます。こうした状況のすべては、悪しき政府が私たちに教え込んでいるからです。私たち先住民女性は、まっとうな食べ物も、まっとうな住居もありません。
保健衛生サービスも就学も無縁です。
これが私たち先住民女性の生であり、死なのです。それなのに「COCOPA法案」は私たちを周縁化すると主張する人がいるのです。私たちを周縁化し侮辱しているのは、現在の法律なのです。だから、私たちはサパティスタ女性として戦うため、組織化することを決定しました。状況を変えるためです。
こうしたことをすべて皆さんにお話しするのは、悲しんで頂くためでも、私たちのところに来て、長い間続く虐待から救って頂くためのものでもありません。
そうした状況をかえるために、私たち女性は戦ってきたし、戦い続けます。
私たちの固有の衣装や言葉や統治や組織や祈りや治療のあり方、集団的労働のあり方、土地への敬意の払い方、私たちがその一部である自然にほからない生命を理解する方法を認知して欲しいのです」。(pp190-193)

サパティスタの活動

サパティスタ民族解放軍の行進ルート(チアパスから出発し、途中いくつもの州を経てメキシコシティに向かった)

1994年1月1日に、サパティスタの人々は黒い目出し帽をかぶりアパス州の4つの都市
を武装占拠しました。メキシコ政府はテロと断定し軍隊を派遣し制圧しようとしました。
しかし、政府による残虐な行為は世界の避難を浴び、停戦を宣言。武力衝突はわずか12日間で
終わりました。(犠牲者は500人にも及んだとも言われているが定かではない)。
サパティスタの武装蜂起の目的は、先住民の多いメキシコに真の民主主義や正義を実現し、
貧しい農民に仕事や土地や自由を取り戻そうとする闘争宣言でもありました。
それらの主張をまとめたのが、「ラカンドン密林宣言」を言われるもの。
宣言文の冒頭に書かれている「YA BASTA!」(もうたくさんだ!)と叫びながら蜂起した
ことは世間の注目を集め、サパティスタの一種のキャッチコピーのようにイメージ付けられています。
実は、武装蜂起といっても民族自決ではなく、国民国家のなかで先住民の権利と文化の擁護を主張して、当時としては、いち早くインターネットを使った宣伝で成功を収めたのです。
ハイテク技術を持たない先住民によって構成されたグループなのに何故、巧みにメディア戦略を行えたのか?
実は、グループの首謀者であるマルコス副司令官の役割が多いとされています。

チェ・ゲバラの再来とも言われるマルコス副司令官

EZENの軍事最高指導者として活動するマルコス副司令官も他のサパティスタの人たちと
同じように目出し帽をかぶり素顔を隠しています。軍の司令官として多くのことを話しますが
本人の素性は明かしていません。
しかし、対立するメキシコ政府は、マルコス副司令官を元メキシコ自治大学教授のラファエル・ギジェンという人物と割り出しました。ラファエル・ギジェン氏はスペイン系メキシコ人で
白人。彼についての詳細は未だによくわかっていませんが、もともと民族解放勢力の一員として
ニカラグアで軍事訓練を受けたのち、チアパス州で軍隊を作ったと言われています。
覆面で全てを見ることは出来ませんが、目元からわかる端正な容姿に
パイプくわえ詩を使ってのメッセージはチェ・ゲバラを連想させるヒーローとしても見られています。

「すでにスパルタクスの時代から知っていたのに時々忘れてしまったことを、
チェは私たちに思い出させます。それは、不公平に対する戦いで人類は初めて彼らを
高めたり、改善したり、より人間的にする段階に着くことであります」。
1994年4月4日
マルコス自身もチェ・ゲバラを敬愛していたのかもしれませんね。

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マルコス副司令官の活動

副司令官と名乗る通り、マルコス自身はあくまでもサブの立ち位置につき
先住民こそ第一の司令官であると主張しています。
「真の司令官、それは人民である」とコメントしているのです。
しかし、実質的な指導者として先住民にアイディアを出し、代弁者として様々な方法で世間に
サパティスタの存在を知らしめたのも事実です。

1、サパティスタの顔に覆面をつけるアイディア。
これまで見えなかったインディオを目出し帽をかぶらせることによって
逆に世間から見えるようにした。

2、覆面とインターネットで味方を増やした
少数派の権利を擁護し、新自由主義のグローバリゼーションに反対している数百の市民団体、NGO
多くの知識人と連帯関係を結び、サパティスタ自体が一つのメディアの役割を担った。
その影響力はメキシコ国家より強化なメディアになり、解放軍がわざわざ武器を持たずしても
世間の関心を味方につけることができた。

3、大勢のサパティスタを引き連れてチアパス州から首都メキシコシティを占拠した。
メキシコのいくつもの貧しい州を通り支持者を集めながら数十万にもの群衆の前で
何百万ものインディオを代表して「われわれは、反乱する尊厳、祖国から忘れられた
心である」と演説を行った。

マルコスの性格は、新しい政治スタイルを作りつつもとても謙虚であると言われています。
さらに、ユーモアと滑稽さを持ち合わせた才能ある作家でもあるのです。
よく、演説の時は、セルバンテス、ルイス・キャロル、ブレヒト、フリオ・コルタサル、
ホルヘ・ルイス・ボルヘスを引用していたといいます。

現在のサパティスタ

サパティスタ自治区内の
事務所 ゲバラとサパタが描かれている
女性も尊厳持ち平和に暮らしている
彼らが身構えているのは銃ではなくカメラやペンだ

現在のサパティスタは、チアパス州に自らの自治区を作り自給自足の平和な
生活を送っています。自治区のあるオベンテックという村はチアパス州の中心地から
車で1時間程の高地にある自然が豊かな場所。大学の敷地ほどの大きさに2,300人くらいが
暮らしています。その敷地には学校や教会、医療施設、畑などが作られており、政府の力を借りず
先住民達自らが作り上げました。さらに、観光客向けにサパティスタのTシャツや文房具、財布などの雑貨を作り、販売しています。一つのアイコンとして、世界中に知れ渡ったサパティスタは
チェ・ゲバラのTシャツのように、一部の人たちから人気が高いのです。☆リンク

まとめ

サパティスタが一貫して主張してきたのはとてもシンプルです。
先住民として、普通の生活を取り戻すことです。
メキシコで哲学を学んだマルコスはそんな先住民を見て、近年のグローバリゼーションの
影響を危惧し、今までにない平和的で戦略的でウィットに富んだ方法でゲリラ活動を
開始したのです。
ネットを使った宣伝は今では珍しいことではありませんが、当時は新しく
2010年以降に起こったジャスミン革命、アラブの春に影響を与えたと言っても良さそうですね。

今、マルコスは何をしているのでしょう?
最後に、マルコスがわれわれに残したメッセージを引用します。

「ご存知のように我々はかつて自分たちの素顔を隠すという決定を行いました。
以前には、人々が我々を見ていなかったからです。インディオは見えない存在しないものでした。
逆説的ですが、人々が我々を見て、我々が見えるようになったのは、我々が素顔を隠した
からです。確かなことは、わ我々ができるだけ早く目出し帽を脱ぎ、武器を置くことを望んでいるということです。
素顔で政治に関わることを望んでいるからです。

もし、あなたがマルコスとは何者であり、その目出し帽の下に誰が隠れているのか知りたいと思うなら
鏡で自分の姿を眺めなさい。あなたがそこに発見する顔がマルコスの顔です。われわれの誰もがマルコス
だからです。」

世間から見られていなかった顔にマスクを被らせ、逆に見られるようになる。このアイロニーとウイットに富んだ戦略はとてもカッコイイなーと思いました。

最後まで読んで頂き、ほんとーにありがとうございます。

それでは、また!
(pp105-107)。

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