こんにちは。ナダの山口です。
メキシコのカフェやレストランに行くと、日本ではあまり見たことのない椅子やソファを見かけます。4本足ではなく、木を削って組み立てたような民芸調の椅子。座るところには、革が張られていて腰にフィットする座り心地のいい椅子。
これは、メキシコでしか作られていない椅子で『エキパルチェア』と呼ばれています。なんと、アステカ時代1500年代のころから今も変わらぬ製法で作り続けられているというから驚きです。
日本ではあまり手に入らないのですが、今回はエキパルチェア紹介をしますね。

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目次
日本では手に入るの?
残念ながら、日本では良質なエキパルチェアの入手は難しいのです。
どうやら、メキシコから出荷するときの手続きが煩雑なこと、また、
普通の椅子よりも大きめなので、運送料が高くついてしまうため、
メキシコも日本もお互い取引には消極的だとか。
仮にネットなどで販売しているサイトがあっても、しっかりと細部まで
見れるものを検討することをお勧めいたします。
ほんのすこしですが、ナダの方でもエキパルチェアを取り扱っています。
日本で入手できるものにどういったものがあるのか興味のある方は
一度、サイトの方を覗いてみてください。
エキパルチェアの特徴
エキパルは、スペイン語で”equipal”と書きます。スペイン語の辞書には”革張りのシュロで編んだ田舎風の椅子”としか書かれていません。
もう少し詳しく説明しますね。
■椅子の素材は、木材、竹、マゲイ、革の4種類です。
木は枠組みを作り、竹は背の曲線の部分に使います。
マゲイは竜舌蘭という植物の一種でアロエのような形で丈夫な葉っぱが取れます。
そのマゲイの葉っぱを乾燥させて、座面に敷き詰めます。
革は豚革を使い、背から座面まで覆うようにして縫っていきます。
他の椅子と違う点は、4本足ではなく、脚部が全て地面とくっついている点でしょう。4点で支えるのではなく、面で支えるので安定感はあります。また、全体を革で覆っているので見た目はソファのような重厚感がありますね。
実は、エキパルチェアは、皇帝の椅子として、アステカ時代から重宝されていたようです。確かに、その風格や座り心地は、当時のものとしては贅沢な椅子だったのでしょう。

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エキパルチェアの製造方法
今のような便利な道具がなかった1500年代から作り続けられているので、作り方はいたってシンプルと言えます。
と言っても、一人で全部作るのではなく、それぞれのパートでその道の職人が
分業で作っていきます。
1:木を削り出し紐と釘で枠組みを作っていきます。
2:竹を曲げて背の曲線を作り、本体と組み合わせます。
3:乾燥させたマゲイの葉っぱを座面に詰めます。
4:革を被せて、特殊な針で縫っていきます。
5:座面の着色は最後に行います。
6:仕上げ:
この作業をしない工房もあるのですが、最後に脚と本体木部と
繋がっている部分に黒い蝋のようなものをかけて、補強します。
どんな素材を使っているのかは、わからないのですが(すいません)
最後のひと手間、結構重要な作業のような気がします。
もし、エキパルチェアを購入される場合、しっかりと黒いものが
補強されているかご確認されることをお勧めします。
黒い蝋のようなものを手でつけて補強する
どこで作られているの?
メキシコならどこでも作られているというわけではなく、
きちんと生産地があります。
メキシコのハリスコ州の家具産地で作られています。
ハリスコ州一帯に、エキパルチェアを作る工房がいくつもあります。
意外!人間国宝の芹沢圭介も愛用していた。
エキパルチェアのデザインはなんとも言えない感性に訴えかけるものがあります。北欧の椅子のように削り出したシャープ感はなく、ぼてっとした重厚なフォルムが特長です。
革と木と葉っぱという3つだけの材料を使い、人の手で作っていく。一見、雑な作業のようだけど、その時の木や革の状態を見て、職人が微調整しながら作り上げていくんです。
もちろん、決まった型はあるのですが、自然素材を扱っているので
それぞれに合わせた調整が必要とのこと。
人間国宝で、民芸家の芹沢圭介氏もエキパルチェアを愛用していました。今でも、静岡県の芹沢圭介美術館には、芹沢圭介氏が愛用していたエキパルチェアが展示されています。
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