こんにちは。ナダの山口です。

織物の盛んなメキシコですが、女性用の民族衣装やストールなど鮮やかで細かい刺繍の入った洋服って素敵ですよね。身につける織物も素晴らしいのですが、お部屋で使う織物も負けていないんです。
洋服ほど多くはありませんが、メキシコのラグ(絨毯)もいくつか種類があります。
今回は、メキシコにはどんな種類のラグがあるのか探っていきたいと思います。

また、お隣の国アメリカのラグもご紹介しますよ。

■『タペテ』の基礎知識
はじめに、メキシコでは、絨毯のことを「タペテ」と呼ぶことをお伝えしないといけませんね。
多くが、羊毛を使ったものが多いのですが、綿やアクリルなども含めて絨毯全般をタペテと呼んでいます。

 

■羊毛タペテの産地は2箇所?

ウール100%のタペテをたくさん作っている産地は、メキシコではそんなに多くはありません。

一つは、グァナファト州のサン・ミゲル・アジェンデというカラフルな観光都市の一角。自然染で明るい色の糸で織るタペテが多くこの街に工房が10個ほどあります。

 

もう少し、大きい規模で作っている産地が当ブログでも紹介したオアハカ州のテオティトラン・デル・バジェ村のサポテックラグですね。約100軒程の工房があります。ここも、ウール100%の草木染めを中心としています。

(今年9月8日に襲ったメキシコ大地震では、チアパス州を震源とするメキシコ南部の州が被害を受けたと聞きます。オアハカ州もチアパスの隣で南部に1する州都です。壊滅的な被害はないと聞きますが、やはり大きな揺れで棚などが倒れたりして損害はあったそうです。無事復興して、また素敵なラグを作って欲しいです。)

2つとも世界遺産の州でやっぱりいい場所にはいいものづくりの文化が続いているんですね。

 

■日本で独自に発展した『サラペ』を紹介

次に、サラペという「これぞメキシコ!」と言われる織物を紹介します。赤、青、ピンク、緑など多色のストライプ柄の織物で、テーブルクロスにしたり、ブランケットにしたり、ラグとして使ったりと使われ方が様々です。軽いので屋外に持っていくことも多く、見たことある人も多いのではないでしょうか。サラペはもともと、絨毯ではなく、ブランケットとして羽織ったり、ひざ掛けに使われていたようです。
でも、日本に入ってくると、ラグやソファーカバーとして使われ始めました。
他の国はわかりませんが、衣装からインテリアへと使い道が変わっていったのでしょうね。
インテリアとして使われた理由は、私の推測ですが、サイズも大きく、素材が綿とアクリルを使っているからだと考えられます。
サラペのサイズは、多くが2mくらいの長さなので、羽織るにはちょっと大きいし、メキシコのアクリルは日本の繊維メーカーの製品のように肌触りがいいわけではないので、身につけるにはちょっとごわごわします。
生地も5mmくらいと厚手なので、ラグとして使った方が、サラペの価値が出やすいんでしょうね。そんなわけで、お部屋をすぐにメキシカンっぽくしたいなら、サラペを敷いたり、テーブルクロスに使ったり、壁掛けにするなどの使い方がオススメです。
ただし、先程もお伝えしたように、特殊な加工がされていない化繊素材なので、肌触りや耐久性などはあまりよろしくはありません。長く使うという点では、オススメできかねます。

■若者に人気の『メキシカンラグ』

ダイヤ柄を織ったメキシカンラグだが、インド製でコットン素材が多い

『メキシカンラグ』は、決まった素材やデザインがあるわけではありません。なんとなくネイティブアメリカンのような柄のラグが『メキシカンラグ』と名ずけられるようになりました。サラペほど、多色使いではなく、2、3色のストライプに中央にダイヤモンドや十字架のようなデザインをあしらった、いかにもネイティブアメリカンなラグといった感じです。
素材はアクリル、ポリエステルのものが多く、デザイン重視のものが多いですね。
日本で出回っているのが、アメリカの「エルパソブランケット社」という会社のメキシカンラグです。
日本にも代理店があり、アパレルショップやインテリアショップに卸しているので、メキシカンラグといえば、「エルパソブランケット!」というくらい浸透してきています。
ただし、アメリカの会社で、生産国はインドなどが中心です。メキシコっぽく作っているだけの商品なのです。まぁ、値段も1畳くらいのサイズで10000円以下とお手頃で、デザインはかっこいいのでネイティブアメリカン好きな若者に人気があるのも納得はできます。

 

■アメリカのチマヨラグとナバホラグ

メキシコのお隣の国でも、サポテックラグのデザインに似たラグが作られています。

チマヨラグとナバホラグです。どちらもウール100%で、草木染めのものも結構あると聞きます。

ニューメキシコ州のチマヨ村のチマヨラグ。チマヨベストはビームスなどアパレルショップでも販売されて、ご存知の方も多いかと思います。ナバホラグは、アリゾナ州やニューメキシコ州に住むナバホ族をルーツとする先住民が織るラグです。

どちらも、平織の手法でサポテックラグと同じ作り方ですね。そして、デザインもダイヤモンドや鳥の羽のような柄だっあり、十字架だったりと、サポテックラグに通じるところがある。やはり、アメリカ大陸という大きな括りで捉えると、ルーツが同じなのかもしれません。

 

■やっぱりこれが一番『サポテックラグ』

草木染めのしっかりとした羊毛。古代から伝わるデザインを手で織っていく

『サポテックラグ』は、チマヨやナバホ程、土着なデザインではなく、少し洗練されたデザインだと思います。ネイティブアメリカンにも影響を与えたというデザインは、アメリカ先住民の作るラグに似た柄もありますが、サポテックラグこそオリジナルなのです。

ネイティブアメリカンより遥か昔の、マヤ時代に存在していたと言われるメキシコの絨毯『サポテックラグ』。赤染料の衰退で一度は廃れてしまいましたが、今でも現役で活躍しているイサックバスケスさんが染色法を復活したことで、持続可能な民芸品として認められてきていると思います。
なによりも、使ってみて、心地よい肌触りや安全な素材で安心してお使いいただけると思います。